ジャーツ(ローンダーツ)のルールと遊び方|禁止の経緯と安全版
- 地域:
- アメリカ
- タグ:
- 北米, 投擲, 家族向け, 1対1, 少人数
この記事の要点
- 人数
- 2–4 人
- 道具
- 先端の丸い安全版ダート(1チーム2本×2色)と目標リング
- 広さ
- リング間は約10.7m(35フィート)が目安。芝生か柔らかい土で
このゲームはどんなもの?
ローンダーツ(lawn darts)は、アメリカで広く遊ばれてきた庭遊び(バックヤードゲーム)です。 商品名の「ジャーツ(Jarts)」でも知られています。 長さ30cmほどの、重り付きの先端と羽根を持つ大きな矢(ダート)を 下から山なりに放り投げ、 地面に置いた輪(目標リング)の中に入れて得点を競います。
ホースシューズ(蹄鉄投げ)とよく似た遊び方で、 1対1または2対2で交互に投げ、狙いの正確さで勝敗が決まります。 腕力よりコントロールが問われるので、大人も子供も同じ土俵で楽しめるのが魅力です。
ただし、この遊びには 重要な安全の歴史 があります。 かつて売られていた 先端の細長く尖ったローンダートは、子供の頭に刺さるなど深刻なけがや死亡事故を起こし、 アメリカでは1988年に販売が禁止されました。カナダも1989年に禁止しています。 現在は、先端を丸くした 安全版(ラウンドチップ) を使うのが大前提です。 この記事は、その安全な現代版を前提に紹介します。
図:2つのリングを離して置き、片側から反対側へ投げます。赤い破線の着地エリアには、投げている間は誰も入りません(リングの大きさは目安で、縮尺は正確ではありません)。
禁止までの経緯(年表)
旧型のジャーツは、いきなり禁止されたわけではありません。まず「子供に売らない」規制がかけられ、それでも事故が続いたため販売そのものが禁止されました。日付は米国消費者製品安全委員会(CPSC)の発表によります。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1970年 | 米国食品医薬品局(FDA)が、おもちゃ売り場での販売を禁じ、注意表示を義務づける(大人向けの技術のゲームとしてだけ売る扱い) |
| 1978〜1986年 | 救急外来で治療されたけがが推計約6,100件。被害者の81%が15歳未満、50%が10歳未満 |
| 1988年5月25日 | CPSC が販売禁止を提案することを決定。この時点で4歳・7歳・13歳の子供3人の死亡を把握 |
| 1988年10月28日 | CPSC が販売禁止を最終決定 |
| 1988年12月 | 禁止が発効(連邦規則 16 CFR part 1306) |
| 1989年 | カナダも製造・輸入・販売を禁止 |
CPSC は1988年の発表で、1970年の規制のあとも旧型がスポーツ用品店で売られ、事情を知らない親が子供のために買っていると指摘していました。
必要な道具と準備
ローンダーツは道具が少なく、準備も手軽です。ダート数本と目標リング、そして周囲に人がいない広めの平らな地面があれば始められます。ただし、遊ぶ前に 必ず安全の前提 を確認してください。
安全に関する最重要事項 — 先端が細長く尖った「昔ながらのローンダート(ジャーツ)」は、子供の頭部に刺さるなど深刻な事故を繰り返し起こし、アメリカでは1988年に販売が禁止 されました(カナダも1989年に禁止)。今から遊ぶなら、先端が丸い安全版だけ を使ってください。尖った先端の古いセットを物置などで見つけても遊びに使わず、処分しましょう。そして、どのバージョンであっても 人に向けて投げない・投擲エリアに人を立ち入らせない ことが絶対の鉄則です。
- ダート(矢) — 重り付きの先端に、細いシャフトと後部の羽根(3枚が一般的)が付いた大きな矢。長さはおよそ30cm(12インチ)です。1チーム2本、2色(合計4本)で1セットが基本。必ず安全版(丸い先端)を選びます
- 目標リング — 地面に置く輪。大きさに決まった規格はなく、製品によって違います。付属のリングがなければ、フラフープやロープの輪、チョークの円でも代用できます
- リングを置く地面 — 芝生・土など柔らかい面が理想。コンクリートやアスファルトはダートが跳ね返って危険なので避けます
- 投擲位置の目印(任意) — テープやロープで示すと公平に遊べます
- 十分な広さ — ダートが山なりに飛ぶため、頭上と着地点の周囲にゆとりが必要です。子供やペットが投擲方向に入り込まない、見通しの良い場所を選びます
まずは1つのリングに向かって投げる感覚をつかみ、慣れたらリングを2つ用意してホースシューズ風に両端から投げ合うと本格的に遊べます。
コートと道具の寸法
ローンダーツには、寸法を定める競技団体や統一された公式規格はありません。下の表の値は、一般的な遊び方の目安として英語版 Wikipedia などに記されたものと、米国・カナダの規制の内容です。
| 項目 | 目安・規定 | 備考 |
|---|---|---|
| リング間の距離 | 約35フィート(約10.7m) | 一般的な目安。公式の規格ではない。子供や初心者は短くしてよい |
| 目標リングの大きさ | 規格なし | 製品によって違う |
| ダートの長さ | 約12インチ(約30cm) | 重り付きの先端と、後部に羽根3枚が一般的 |
| ダートの本数 | 1チーム2本×2色 | 1ラウンドで両チームが2本ずつ投げる |
| 米国での規制 | 先端が細長く、先端から地面に落ちるよう作られた屋外用ダートは販売禁止 | 連邦規則 16 CFR part 1306。1988年12月に発効 |
| カナダでの規制 | 先端が細長いローンダートは製造・輸入・販売・広告が禁止 | 1989年に禁止。中古品の販売も違法 |
図:上の赤い×が、アメリカ・カナダで禁止された先端の細長いタイプ。下の緑の輪が、先端を丸くした安全版です。
推奨人数・年齢層
| 形式 | 人数 | 1人あたりのダート | 並び方 |
|---|---|---|---|
| 個人戦(シングルス) | 1対1 | 2本 | 同じ側から交互に投げる |
| ペア戦(ダブルス) | 2対2 | 2本 | 味方と交互に投げる。リング2つなら両端に分かれてもよい |
対象年齢は、安全版であっても 投げる力と方向をコントロールできる年齢 が目安です。アメリカの事故では被害者の多くが15歳未満の子供でした。小さな子供が参加する場合は、必ず大人が付き添い、投擲エリアを管理してください。
ルール
ローンダーツは「大きな矢を下から山なりに投げ、地面のリングに入れて得点する」シンプルな的当てゲームです。得点の考え方はホースシューズ(蹄鉄投げ)によく似ています。まずは下の最小ルールを覚えれば、その日のうちに遊べます。
あそびかたの流れ(最小ルール)
- 平らで柔らかい地面に 目標リングを1つ 置きます。本格的に遊ぶなら、リングを2つ、約35フィート(約10.7m)離して置き、両端から投げ合います
- リングから離れた投擲位置に立ち、先攻を決めます
- 先攻のプレイヤーが、ダートを 下から山なりに 放り投げます。上から振り下ろす・水平に強く投げるのは危険なので厳禁です
- ダートは下降しながら先端が下を向き、先端から地面に着地 します。リングの中に入れば成功です
- 続けてもう1本を投げ、次に相手(チーム)が同じように2本を投げます
- 全員が投げ終わったら得点を数えます(次項)
- これを1ラウンドとして繰り返し、先に21点 に達したチームの勝ちです
最初は「山なりにふわっと投げて、リングを狙う」ことだけ意識すればOK。慣れてきたら得点計算の駆け引きが面白くなります。
標準ルール(技を加える)
よく紹介される得点の数え方(ホースシューズ式):
- リングの中に入った(リンガー) — 1本につき 3点。相手もリンガーを入れた場合は、1本ずつ打ち消し合います
- リングの外だが、相手のどのダートよりリングに近い — その1本に 1点
- 次のラウンドの先攻 — 前のラウンドで多く得点した側が先に投げる、とする遊び方があります
リンガーだけを数える遊び方や、両者の点の差だけを入れる遊び方もあります。遊ぶ前にどれを使うか決めておきましょう。
技のポイント:
- 投げ方 — 必ず下投げ(アンダーハンド)で、山なりの高い弧を描かせます。頂点から素直に落とすほど先端が真下を向き、リングに収まりやすくなります
- 距離感 — 山なりの軌道は「投げる強さ」より「離す角度」で飛距離が決まります。同じフォームで角度だけ微調整すると再現性が上がります
- 狙いの一貫性 — 立ち位置・足の向き・腕の振りを毎回そろえると、着地点が安定します
公式競技ルール
ローンダーツには、ルールや寸法を統一して定める競技団体は見当たりません。ルールは製品の説明書や地域によってまちまちで、上の「リンガー3点・最も近いダート1点・21点先取」のホースシューズ式が、広く紹介されている代表的な形です。21点については、ぴったり21点で勝ちとし、超えたらそのラウンドの得点を無効にする(または差し引く)遊び方や、2点差をつけるまで続ける遊び方もあります。
そして何より、先端の細長いダートは米国・カナダで販売が禁止されているため、どんなルールで遊ぶにしても 安全版を使うこと が現代の大前提です。
得点計算の例
ここでは、上の標準ルール(リンガー3点・相殺あり、最も近いダート1点)で数えます。
- 例1 — A はリンガー1本と、リングから離れた1本。B はリンガーなしで、2本ともリングの外ですが、そのうち1本が A の外れた1本よりリングに近い。A に3点、B に1点 です。差だけを入れる遊び方なら A に2点
- 例2 — A も B もリンガー1本ずつで、3点ずつ打ち消し合います。残りの外れたダートでは A のほうがリングに近いので、A に1点 だけ入ります
- 例3(ぴったり21点で遊ぶ場合) — 19点の A がリンガー1本で3点を取ると22点になり、21点を超えます。この遊び方では、そのラウンドの得点は無効で、A は19点のまま次のラウンドへ進みます
図:左が例1(A のリンガー3点、B の最も近いダート1点)、右が例2(リンガーどうしが相殺し、最も近い A のダートに1点)。緑の輪は得点になるリンガー、橙の小さな輪は「最も近い1本」です。
よくある反則・判定の迷いどころ
統一ルールがないため、次の点は始める前に決めておくと揉めません。
- リングの線上に刺さったダート — 中に入ったとみなすか、外とみなすか。先端が地面に触れた位置で決めるのが分かりやすい方法です
- 刺さらずに寝たダート — 先端が止まった位置で判定するのか、転がった後の位置で判定するのかを決めておきます
- 相手のダートを弾いたとき — 動いたダートは、全員が投げ終えた後の最終位置で数えるのが一般的です
- 投げ方の反則 — 上投げ(オーバーハンド)や、水平に強く投げるのは危険なので禁止とし、その1本は無効にします
- ラインを越えて投げる — 投擲位置の目印を決めたら、踏み越えて投げた1本は無効にします
- 投げ終わる前に着地エリアへ入る — 得点や安全のため、全員が投げ終えるまでは誰もリングに近づきません。これは反則というより、絶対の安全ルールです
楽しむコツ
何よりもまず安全
- 人に向けて絶対に投げない — 投擲方向とその周囲、頭上に人・ペットがいないことを毎回確認します
- 安全版だけを使う — 先端の尖った旧型は使わない・遊ばせない・見つけたら処分する。「昔は普通に売られていた」からこそ、大人が意識して徹底すべき点です
- 順番を守る — 誰かが投げている間は、他の人はリングやダートに近づかない。全員が投げ終えてから拾いに行きます
- 拾うときも油断しない — 反対側のリングから投げ返すときは、相手が戻ったことを声で確認してから投げます
初心者がつまずきやすい点
- 強く投げすぎる — 水平に強く投げると先端が下を向かず、リングに収まりません。ふわっと高く上げる方がうまくいきます
- 距離を力で合わせようとする — 飛距離は角度で調整します
- 地面選び — 硬い地面ではダートが跳ねて危険。芝生や柔らかい土を選びます
戦術のコツ
- 1本目で位置を取る — 1本目がリングの手前に落ちたら、2本目は同じ弧で少しだけ角度を上げると修正しやすくなります
- 相殺を意識する — 相手がリンガーを入れたら、自分もリンガーで打ち消すか、せめて最も近い1本を狙います
盛り上げる工夫
- リング2つを離して置き、両端から投げ合うと、待ち時間が減ってテンポよく遊べます
- 21点先取は意外と長いので、短時間なら11点先取など短縮ルールでもOK
- BBQやキャンプの傍らで、順番待ちの間に会話を楽しむのが本場のゆるいスタイルです
日本で遊ぶときの工夫
- 購入時は 先端が丸い安全版 であることを必ず確認しましょう。海外の古いセットを個人輸入したり、譲り受けたりするのは避けます
- 公園や河川敷など広い芝生が向いています。山なりに飛ぶため、周囲に人が多い場所や狭い場所は避けます
- 公園によってはダーツのような投擲物が禁止されていることもあるので、管理者の決まりを確認しましょう
- 目標リングは、フラフープやロープの輪、チョークの円で代用できます
- 子供と遊ぶときは必ず大人が投擲エリアを管理し、投げる人以外はラインの後方で待つルールを徹底します
よくある質問
Q. ローンダーツはなぜ禁止されたの?
先端の細長く尖ったダートが、子供の頭に刺さる事故を繰り返し起こしたためです。米国消費者製品安全委員会(CPSC)によると、1978〜1986年に推計6,100件のけがが救急外来で治療され、その81%が15歳未満でした。4歳・7歳・13歳の子供3人が亡くなっています。1987年に7歳の娘を亡くした父親の働きかけもあり、CPSC は1988年に販売禁止を決め、同年12月に発効しました。
Q. 今でも遊べるの? 何が禁止されている?
米国で禁止されたのは、先端が細長く、先端から地面に落ちるよう作られた屋外用のダートです。CPSC は、先端が尖っておらず地面に刺さる作りでない、頭に刺さるおそれのないダートは禁止の対象外としました。現在売られている先端の丸い安全版で遊ぶのが前提です。カナダでは先端の細長いダートの製造・輸入・販売が禁止され、中古品の販売も違法です。
Q. ジャーツとローンダーツは同じもの?
同じ遊びです。ローンダーツ(lawn darts)が一般名で、ジャーツ(Jarts)はその商品名として広まった呼び名です。英語ではヤードダーツ(yard darts)とも呼ばれます。
Q. リングの間はどれくらい離す?
公式の規格はありませんが、約35フィート(約10.7m)離すのが一般的な目安です。子供や初心者は距離を短くして、リングに届く距離から始めましょう。着地エリアの周りには、人が入らない余裕を十分にとってください。
Q. 何点で勝ち?
よく紹介されるルールでは21点先取です。ぴったり21点で勝ちとし、超えたらそのラウンドの得点を無効にする遊び方もあります。統一ルールはないので、始める前に決めておきましょう。
Q. 子どもは何歳から遊べる?
決まった年齢はありませんが、安全版であっても、投げる方向と力をコントロールでき、「人のいる方向に投げない」「投げ終わるまで近づかない」を守れることが条件です。アメリカの事故の被害者の多くは15歳未満でした。子供が遊ぶときは、必ず大人が付き添ってください。
もっと知りたい人へ
- CPSC「Lawn Darts」 — 米国での禁止の範囲(16 CFR part 1306)
- CPSC「CPSC Votes Lawn Dart Ban」(1988年) — 禁止を決めた経緯とけがのデータ
- CPSC「CPSC Votes Final Ban On Lawn Darts」(1988年) — 最終決定と発効
- Health Canada「Industry Guide to Second-hand Products」 — カナダで製造・輸入・広告・販売が禁止された製品(中古品を含む)
- Lawn darts(英語版 Wikipedia) — 歴史と遊び方
- 関連: コーンホール、ラダーゴルフ、ペタンク、モルック、クッブ
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