綱引きのルールと勝つコツ|人数・綱の長さ・4mの判定・並び方を図解
- 地域:
- 世界各地
- タグ:
- 団体戦, 力比べ, 競技性高, 伝統, 子供向け
この記事の要点
- 人数
- 4–40 人
- 試合の長さ
- 1回の引き合いは数秒で決まることも長引くこともある。公式戦は2回の引き合いで1試合(決勝などは3本中2本先取)
- 道具
- 綱(ロープ)1本。公式の屋外戦は長さ36m・周囲10〜12.5cm。滑りにくい靴
- 広さ
- 綱の長さ+前後の余裕。屋外は平らな芝生、屋内はマットのレーン(推奨は長さ36m・幅1〜1.2m)
このゲームはどんなもの?
綱引き(Tug of War)は、1本の綱を2つのチームが反対方向へ引き合い、相手を自分の側へ決められた距離だけ引き寄せたほうが勝つ競技です。 道具は綱だけで、ルールは世界中どこでもほぼ同じ。力だけでなく、姿勢やチームのリズムで勝負が決まります。
綱を引き合う行事は古くから世界各地にあり、日本でも豊作や吉凶を占う神事として各地で行われてきました。 近代スポーツとしては、1900年のパリ大会から1920年のアントワープ大会まで、オリンピックの正式種目でした。 いまは国際綱引連盟(TWIF)が国際ルールを定め、毎年の世界選手権を開いています。TWIF は1981年の第1回からすべてのワールドゲームズに参加しています。 日本では公益社団法人日本綱引連盟(JTWF)が競技を統括していて、運動会の定番種目としてもおなじみです。
図:TWIF の屋外ルールの綱の印です。中心の印(橙)から左右4m(緑の矢印)に1つずつ、5m(濃い灰色の矢印)にもう1つずつ印を付けます。選手は5mの印より外側を握ります。
オリンピックの綱引き(1900〜1920年)
綱引きは、陸上競技の種目として5大会で行われました。TWIF の資料による結果は次のとおりです。
| 年 | 開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
|---|---|---|---|---|
| 1900 | パリ | スウェーデン | アメリカ | フランス |
| 1904 | セントルイス | アメリカ | アメリカ | アメリカ |
| 1908 | ロンドン | イギリス | イギリス | イギリス |
| 1912 | ストックホルム | スウェーデン | イギリス | — |
| 1920 | アントワープ | イギリス | オランダ | ベルギー |
1920年に IOC は参加者を減らすため団体競技のいくつかを外し、綱引きもプログラムから消えました。TWIF は1999年に IOC の暫定承認を受け、2002年に正式に承認されています。
必要な道具と準備
- 綱(ロープ) — 結び目や手をかける輪の無い、まっすぐな綱。公式戦では両端をほつれないように処理し、中央と左右に色の違う印を付けます
- 靴 — 滑りにくい運動靴。公式の屋外戦では、かかとの形や高さ(底を含めて35mm以下)まで細かい規定があります
- ベルト — 公式戦では、最後尾のアンカーが綱を当てる保護ベルトを着けます
- 服装 — 公式戦は、そろいの色のシャツ・ショートパンツ(またはスポーツ用レギンス)・ソックス
- 場所 — 屋外は平らな芝生。地面に中心線を1本引きます。屋内は滑り止めのマットのレーンを使います
- 審判 — 主審1人と、反対側に副審。運動会でも、合図と判定をする大人を必ず決めます
綱の長さ・太さと印の位置
TWIF の国際ルール(Rules Manual 2026)と、日本綱引連盟の国内ルールの値です。
| 項目 | TWIF・屋外 | TWIF・屋内 | 日本綱引連盟(屋内の国内ルール) |
|---|---|---|---|
| 綱の太さ | 周囲10〜12.5cm | 周囲10〜12.5cm | — |
| 綱の長さ | 36m(国際大会の開始時) | — | — |
| 綱の印 | 中央1つ、左右4mに1つずつ、左右5mに1つずつ(3色) | 中央1つ、左右2.5mに1つずつ(2色) | 中央の「センターマーク」と、左右2mの「ホワイトマーク」 |
| 床・地面の印 | 中心線1本 | 中心線と、左右4mの線 | 中央の「センターライン」と、左右2mの「ホワイトライン」 |
| 勝ちの条件 | 相手側の4mの印が中心線を越える | 綱の中央の印が自分側の4mの線を越える | ホワイトマークとホワイトラインが重なるまで、合わせて4m引く |
| 握ってよい位置 | 5mの印より外側 | — | — |
どのルールでも、勝つために引く距離は4mです。運動会では、綱の中央に旗や布を結び、地面の中心線から左右に同じ距離の線を引いて判定することが多いです。
推奨人数・年齢層
| 形式 | 人数 | 備考 |
|---|---|---|
| TWIF の国際大会 | 1チーム8人 | 交代は大会を通じて1人まで。男女混合は男女4人ずつ |
| 日本綱引連盟の大会 | 12人編成(選手8人+交代2人+監督1人+トレーナー1人) | 監督・トレーナーは選手が兼ねてもよい |
| 運動会・レクリエーション | クラスや組ごとに同じ人数 | 綱の長さと強さに合った人数にする |
体重別の階級
公式戦は、8人の体重の合計で階級を分けます。TWIF の主な階級は次のとおりです(屋外・屋内で一部違います)。
| 区分 | 主な階級(8人の合計) |
|---|---|
| 男子シニア | 560kg・600kg・640kg・680kg 以下 |
| 女子シニア | 500kg・540kg 以下(屋外は520kg・560kgも) |
| ジュニア(14〜18歳) | 男子560kg・女子480kg 以下 |
| 男女混合(4人+4人) | ジュニア520kg・23歳未満560kg 以下 |
日本綱引連盟の国内大会には、400kg以下のフライ級から720kg以下のヘビー級、体重無制限のキャッチ級まであります。シニアは16歳になる年から出場できます。
ルール
綱引きは「綱を決められた距離だけ自分の側へ引き寄せる」だけの競技です。最小ルールで始め、公式ルールの姿勢と反則を知ると、ぐっと安全で強くなれます。
あそびかたの流れ(最小ルール)
- 地面に中心線を引き、綱の中央の印(旗)を中心線の真上に合わせます
- 両チームが綱の左右に分かれて並び、綱を持ちます
- 審判の合図で引き合います
- 決めておいた印(たとえば相手側の4mの印)が中心線を越えたら、引いたチームの勝ち。運動会では「笛が鳴った時点で中心より自分の側にあるほうが勝ち」とすることもあります
- 陣地を入れ替えてもう1回引き、勝ち数で決めます
はじめは「綱を手や体に巻かない」「合図があるまで引かない」「終わりの笛で急に手を離さない」の3つを全員で確認してから始めます。
標準ルール(技を加える)
- 握り方 — 両手とも素手で、手のひらを上に向けて握ります(TWIF の「普通の握り」)
- 綱は脇に挟む — 綱は体と上腕のあいだを通します。肩に担いだり、腰より下で持ったりしません
- 足を前へ — 足はひざより前に出し、体を後ろに倒して引きます。座り込んだり、手や体を地面についたりするのは反則です
- アンカー — 最後尾の選手は、綱を体の横から背中へ斜めに回し、反対の肩にかけて脇の下から後ろへ流します。ただしこれは公式戦の特別な持ち方で、運動会では行いません
- 前の選手の位置 — 先頭の選手は、握ってよい印(屋外は5mの印)にできるだけ近いところを握ります
図:左は正しい姿勢(綱を脇に挟み、手のひらを上にして握り、足をひざより前へ)。右は綱を手に巻いた危険な持ち方で、TWIF のルールでも反則です。
公式競技ルール
TWIF の国際ルールでは、試合は次のように進みます。
- 合図 — 「ピック・アップ・ザ・ロープ」(綱を持つ)→「テイク・ザ・ストレイン」(綱を張る。屋外ではかかとで足場を1つ作ってよい)→「ステディ」(綱の中央の印を中心線に合わせて静止)→「プル」(引く)。主審は腕の動きでも合図します
- 勝ちの判定 — 屋外は相手側の4mの印が地面の中心線を越えたとき、屋内は綱の中央の印が床の4mの線を越えたとき。相手の失格でも勝ちになります
- 注意と失格 — 反則をすると主審が注意(コーション)を出し、1回の引き合いで2回注意を受けたチームは、3回目の反則で失格になります。1人の反則でもチームの反則です
- 試合の形 — 予選は総当たりで、1試合は2回の引き合い。準決勝・決勝は3本のうち2本を先に取ったチームの勝ちです
- 休憩 — 試合と試合のあいだは最大6分まで休めます
- 引き分けの扱い — 両チームが反則を重ねたり、長く動きが止まったりすると「ノープル」になります
図:上は始めの状態、下は左のチームの勝ちの瞬間です。右のチーム側の4mの印(緑)が中心線を越えたところで、左のチームの勝ちになります。
得点計算の例
TWIF の総当たり戦では、1試合(2回の引き合い)の結果で点数が入ります。
| 結果 | 勝ったチーム | 負けたチーム |
|---|---|---|
| 予選で2回とも勝ち(2-0) | 3点 | 0点 |
| 予選で1回ずつ勝ち(1-1) | 1点 | 1点 |
| 決勝などで2-0 | 3点 | 0点 |
| 決勝などで2-1 | 2点 | 1点 |
- 例1 — A は B に2-0、C と1-1。A の合計は 3+1=4点
- 例2 — 準決勝で A が1本目を取り、2本目を落とし、3本目を取った。A の勝ち(2-1)
- 例3 — 予選の総当たりで点数が並んだら、当該チーム同士の結果、勝った試合の数、受けた注意の少なさの順で順位を決めます
よくある反則・判定の迷いどころ
TWIF のルールに挙がっている主な反則です。
- シッティング — わざと地面に座る、または滑ったあとすぐ引く姿勢に戻らない
- リーニング — 足以外の体の一部が地面につく
- ロッキング — 綱が自由に動かないように押さえ込む持ち方(ひじを太ももに当てて固めるなど)
- プロッピング — 綱が体と上腕のあいだを通っていない持ち方
- クライミング — 綱を手の中で滑らせて、たぐり寄せる
- ローイング — 座り込んでは足を後ろへずらす動きをくり返す
- 足場づくり — 屋外で、「テイク・ザ・ストレイン」の前にかかとで地面を掘る
- トレーナーの指示 — 引いている最中に、トレーナーがチームに声をかける
- 結び目・輪 — 綱に結び目や輪を作る、体のどこかに綱を固定する(綱を交差させるのも輪とみなされます)
楽しむコツ
安全(けがと事故を防ぐ)
綱引きは単純ですが、大きな力がかかる競技です。海外では大きな事故も起きています。
- 綱を手・手首・腕・体に巻かない — 巻いた綱が締まると、指や手を失う大けがにつながります。2014年に医学誌に載った症例報告では、学校のピクニックで綱を右腕に3回巻いて引いた10歳の男の子が、腕の神経まひを起こしました(3か月で回復)。同じ論文は、指や腕の切断に至った例も報告されていると紹介しています
- 綱が切れる危険 — 1997年10月25日、台北の大会で、約1,500人が引いた太さ約5cmのナイロンの綱が切れ、跳ね返った綱で2人の腕がちぎれる事故が起きました。人数を増やしすぎず、綱の強さに合った人数にします
- 指を挟まない — 2013年2月には、米カリフォルニア州エルモンテの高校で、昼休みの綱引きで2人の生徒が指を失いました
- 腰を痛めやすい — 先ほどの論文によると、綱引きのけがで多いのは背中・腰(全体の42〜44%)、次に肩・腕(23%)、ひざ(17%)でした。準備運動をしてから引きます
- 急に手を離さない — 片方のチームが一斉に手を離すと、相手が後ろへ倒れて頭を打ちます。終わりの笛まで握り、笛が鳴ってもゆっくり緩めます
- 周りの人 — 綱の端や後ろに人を立たせない。応援する人は綱から離れます
子どもが引くときは、大人が審判と見守りを分担し、次のときはすぐ笛を吹いて止めます。
- 誰かが転んだ、綱から手が離れて下敷きになりそう
- 綱が手や腕に巻き付いている、綱がねじれて誰かを締めている
- 綱が地面から浮き上がって、子どもの顔や首の高さに来ている
- 足元が濡れて滑る、靴が脱げた
勝つコツ(姿勢・並び方・掛け声)
- 低い姿勢で、体重を後ろへ — 腕で引くのではなく、足を前に出して体を後ろに倒し、体重で引きます。綱は脇にしっかり挟みます
- 全員のリズムをそろえる — 「オーエス」などの掛け声で、同じタイミングで引きます。ばらばらに引くと力が分散します
- 相手の勢いをしのぐ — 始めの数秒で引き込まれないよう、合図と同時に姿勢を作ります。押し返されたら、足を踏ん張って耐え、相手が疲れたところで一気に引きます
- 並び方 — 綱の左右に交互に並ぶと、綱がまっすぐになり、隣どうしがぶつかりません。前後の間隔はそろえます。最後尾には、粘り強く踏ん張れる人を置くのがよく勧められる並び方です
- 滑らない足元 — 芝生なら運動靴でかかとを地面に食い込ませます。屋内は滑り止めのマットを使います
年齢別のアレンジ
- 幼児・低学年 — 短く細い綱で少人数ずつ。「中央の旗が自分の側の線を越えたら勝ち」の1回勝負で
- 小学生〜中学生 — 学年ごとに人数をそろえ、3回勝負に。「手に巻かない」をはじめに必ず確認します
- 大人・競技志向 — 体重の合計で階級を合わせ、TWIF や日本綱引連盟のルールで。屋内マットの大会もあります
日本で遊ぶときの工夫
- 競技団体 — 日本綱引連盟は1980年に設立され、1985年に TWIF に加盟しました。全日本綱引選手権大会などを開き、都道府県ごとに連盟があります。国内大会の体重別の階級と年齢区分も定めています(「推奨人数・年齢層」の節)
- 伝統の綱引き — 日本綱引連盟によると、北は秋田の大曲の大綱引、南は沖縄の与那原の大綱引など、豊作・豊漁を占う行事が各地に残っています。鹿児島県薩摩川内市の川内大綱引は長さ365mの綱を約3,000人で引くとされ、那覇大綱挽の綱は長さ200m以上・重さ40トン以上といわれます。神事として行われる綱引きは、競技とは別に、地域の決まりを尊重して参加します
- 運動会 — 明治以降の運動会の広がりとともに、学校の定番種目になりました。学校や地域の行事で使う綱は、レンタルもあります
- 場所 — 平らで、綱の長さと前後の余裕がとれる芝生や校庭で。公園で行うときは、ほかの利用者の通り道をふさがないようにします
よくある質問
Q. プロッピング・リーニング・ロッキングとは? どのスポーツの反則?
どれも綱引きの反則の名前です(国際綱引連盟 TWIF のルール)。リーニングは足以外の体の一部が地面につくこと、ロッキングはひじを太ももに当てるなどして綱を固めてしまう持ち方、プロッピングは綱が体と上腕のあいだを通っていない持ち方です。ほかに、わざと座り込むシッティング、綱をたぐり寄せるクライミングもあります。くわしくは上の「よくある反則・判定の迷いどころ」を見てください。
Q. 1チーム何人で引くの?
公式戦は1チーム8人です。日本綱引連盟の大会は、選手8人・交代2人・監督1人・トレーナー1人の12人編成です。運動会では、両チームの人数をそろえれば何人でもかまいません。
Q. 何メートル引けば勝ち?
公式ルールでは4mです。TWIF の屋外ルールでは、綱の中央から4mの位置にある相手側の印が、地面の中心線を越えたら勝ちになります。日本綱引連盟の屋内ルールも、2mずつの印と線が重なるまで、合わせて4m引いたら勝ちです。
Q. 綱の長さと太さは?
TWIF の国際大会では、長さ36m・周囲10〜12.5cmの、結び目の無い綱を使います。国内の大会や運動会では、人数に合わせた長さの綱が使われます。
Q. 綱引きはオリンピックの種目だった?
はい。1900年のパリ大会から1920年のアントワープ大会まで、5大会で行われました。いまはオリンピックの種目ではありませんが、TWIF は IOC に承認された国際競技連盟で、ワールドゲームズでは毎回行われています。
Q. なぜ綱を手に巻いてはいけないの?
巻いた綱が引っぱられて締まると、指や手を失うほどの大けがになることがあるからです。TWIF のルールでも、綱に輪を作ったり体に固定したりするのは反則です。必ず手のひらを上にして握り、脇に挟んで引きます。
Q. 運動会で勝つコツは?
足を前に出して体を後ろに倒し、腕ではなく体重で引くことです。綱を脇に挟み、掛け声で全員のタイミングをそろえます。綱の左右に交互に並び、始めの合図と同時に姿勢を作ると、引き込まれにくくなります。
もっと知りたい人へ
- TWIF Rules Manual 2026(国際綱引連盟・英語・PDF) — 国際ルール、五輪とワールドゲームズの記録
- 綱引きのルール(日本綱引連盟)
- 競技について(日本綱引連盟) — 体重別の階級と年齢区分
- 歴史について(日本綱引連盟)
- Tug-of-War Injuries: A Case Report and Review of the Literature(Case Reports in Orthopedics, 2014・英語) — けがの症例と予防
- Tug of war(英語版 Wikipedia) — 事故の記録と各地の綱引き
- 関連: カバディ、フラッグフットボール — チームで力を合わせて陣地を争う芝生のスポーツ
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