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騎馬戦のルールと遊び方|騎馬の組み方・騎手のコツ・勝つ作戦と安全対策を図解

地域:
日本
タグ:
団体戦, 力比べ, 日本発, 子供向け, 若者向け, 伝統

この記事の要点

人数
8–200 人
試合の長さ
1回戦は短く区切り、時間制限と何回戦行うかは主催者が決める
道具
騎手がかぶる帽子か鉢巻(チームの色で分ける)
広さ
騎馬が走り回れる、平らで柔らかい地面(芝生や土のグラウンド)。プールで行う水中騎馬戦もある
目次 (8)
  1. このゲームはどんなもの?
  2. 必要な道具と準備
  3. 推奨人数・年齢層
  4. ルール
  5. 楽しむコツ
  6. 日本で遊ぶときの工夫
  7. よくある質問
  8. もっと知りたい人へ
芝生の上で、3つの緑の三角(騎馬)の上に白い帽子の騎手が乗り、片腕で赤い帽子を高く掲げているイラスト。手前の芝生には白い鉢巻と赤い鉢巻が落ちている

このゲームはどんなもの?

騎馬戦(Kibasen)は、3人で組んだ「騎馬」の上に1人の「騎手」が乗り、相手の騎手の帽子や鉢巻を奪い合うチーム競技です。 帽子を取られた騎馬や、騎手が落ちた騎馬は負けとなって場外へ出ます。紅白などの2チームに分かれて戦うのが基本で、日本の運動会・体育祭の種目として知られています。

起源ははっきりしていませんが、人を馬と武将に見立てていることから、武士の合戦をまねた競技と考えられています。英語では直訳して cavalry battle と呼ばれ、漫画・アニメ『僕のヒーローアカデミア』の雄英体育祭に騎馬戦が出てきたことで、海外でも名前が知られるようになりました。英語圏には、肩車をした2人組どうしで押し合って相手を落とす chicken fight(チキンファイト)という似た遊びがあり、主にプールや湖で行われます。

騎手は高い位置で組み合うため、落ちると頭や首を打つおそれがあります。この記事では、ルールと勝ち方のコツに加えて、事故を防ぐ見守りとルールの工夫を詳しく紹介します。

左から緑の騎馬(3つの緑の三角の上に騎手の三角が乗り、白い帽子をかぶる)が走り込み、右に立つ灰色の騎馬の騎手から赤い帽子を取って高く掲げ、緑の輪が広がる様子のアニメーション

騎馬を真上から見た図。上に前の人、左下と右下に後ろの2人がいて、三角形を作っている。後ろの2人は内側の腕を前の人の肩に置き、外側の手を前の人の手と握り合っている。握り合った2か所を橙の丸で示し、その上に騎手(赤い帽子の丸と白い破線の楕円)が乗って、足を橙の丸に掛けている。右には進む向きを示す上向きの緑の矢印がある

図:騎馬の組み方を上から見たところ。前の人の斜め後ろに2人が立ち、握り合った手(橙)が騎手の足を掛ける「あぶみ」、前の人の肩に置いた腕が「くら」の代わりになります。

必要な道具と準備

  • 帽子か鉢巻 — 騎手がかぶります。紅白帽のようにチームの色が分かるものを使います。奪い合いで首が絞まらないよう、あごひもは外すか、すぐ外れるものにします
  • 競技場 — 石や段差の無い、平らで柔らかい地面。芝生や土のグラウンドを選び、コンクリートやアスファルトの上では行いません
  • 身支度 — 爪を短く切り、メガネ・ヘアピン・アクセサリーを外します。裸足で行う学校もあります
  • 審判と補助役 — 組み合う騎馬のそばに立つ審判と、騎手が落ちたときに支える補助役を置きます。全員に笛の合図を決めておきます

騎馬の組み方と役割(騎手・前の人・後ろの人)

騎馬はふつう4人1組です。3人が騎馬になり、1人が騎手として上に乗ります。

役割呼び方の例すること向いている人
騎手上の人・上に乗る人騎馬の上から相手の帽子を取り、自分の帽子を守る体が軽く、バランス感覚のよい人
前の人先頭・前馬騎馬の進む向きを決め、騎手の体を正面で支える体が大きく、力の強い人
後ろの人(2人)後ろ馬前の人の斜め後ろで騎手の足を支え、前の人について走る前の人と背の高さが近い人

組み方の手順は次のとおりです。

  1. 前の人が進む向きに立ち、2人がその斜め後ろに立って三角形を作ります。3人とも前を向きます
  2. 後ろの2人は、内側の手を前の人の肩に置きます
  3. 後ろの2人の外側の手と、後ろに伸ばした前の人の手を、それぞれ握り合います
  4. 騎手は、握り合った手(あぶみ)に足を掛け、肩に置いた腕(くら)にまたがるように乗ります
  5. 騎手は前の人の肩に手を置いて体を安定させ、合図で全員が立ち上がります

騎馬の3人の背の高さがそろっていると、騎手が傾かずに安定します。人数が合わないときは、2人で騎手を背負う形(おんぶ・肩車)にすることもありますが、騎手の位置が不安定になるので、低学年では避けます。

推奨人数・年齢層

形式人数備考
小学校の運動会1チーム数騎〜十数騎(1騎4人)帽子取りで、体当たりを禁止にすることが多い
中学・高校の体育祭学年・クラス・組の単位学校ごとにルールが違う。激しくなりやすいので見守りを増やす
一騎打ち・少人数の遊び2騎(8人)から円の中で1騎どうしが戦う

体格の差がけがにつながりやすいので、騎馬どうしの体格や学年をそろえてチームを分けます。

ルール

騎馬戦には、全国で統一された公式ルールや競技団体はありません。ここでは学校の運動会で多い形を紹介します。

あそびかたの流れ(最小ルール)

  1. 2チームに分かれ、4人1組で騎馬を組みます。騎手はチームの色の帽子か鉢巻を着けます
  2. 両チームが競技場の端に並び、合図で騎馬を立ち上げます
  3. 開始の合図で騎馬が自由に動き、騎手どうしで相手の帽子を取り合います
  4. 帽子を取られた騎馬、騎手が落ちた騎馬、騎馬が崩れた騎馬は負けとなり、その場で騎馬を降りて場外へ出ます
  5. 終了の合図で全員止まり、残っている騎馬の数や取った帽子の数で勝ち負けを決めます

騎馬戦の競技場を上から見た図。中央に白い破線があり、左に緑のチームの騎馬が5騎(1騎は大きい大将騎)、右に灰色のチームの騎馬が5騎並ぶ。騎馬はそれぞれ3つの丸(騎馬役)と中央の帽子の丸(緑チームは白、灰色チームは赤)で表している。中央の破線の円の中では、緑と灰色の騎馬が1騎ずつ向き合い、円の上と下に橙の三角(審判)が立っている

図:両チームが向かい合って並びます。大きい騎馬は大将騎です。中央の円は一騎打ちで使う土俵のような円で、審判(橙)がすぐそばで見守ります。

標準ルール(技を加える)

慣れてきたら、勝ち負けの決め方を変えて作戦を楽しみます。

方式勝ち負けの決め方特徴
全滅戦相手の騎馬を先に全部倒したチームの勝ちいちばん単純。長引かないよう時間制限と組み合わせる
時間制時間が来たとき、残っている騎馬の多いチームの勝ち試合の長さをそろえやすい
帽子の数時間内に取った帽子の数が多いチームの勝ち騎馬が倒れなくても点が入る
大将戦(川中島方式)相手チームの大将騎を先に倒したチームの勝ち大将を守る騎馬と攻める騎馬に分かれる。九州では競技そのものを「川中島」と呼ぶこともある
一騎打ち各チームから1騎ずつ出て戦う。円の外に出したら勝ちとすることもある大勢での乱戦より危険が少なく、全滅戦の決着をつけるのにも使う

大将騎だけ点数を高くする、騎馬に階級を付けて点数を変えるなど、点数制で行う学校もあります。

公式競技ルール

統一された公式ルールが無いため、学校や主催者が次のような点を決めます。行う前に、参加者全員でルールを確かめます。

  • 負けの判定 — 帽子(鉢巻)を取られたら負けにするか、騎手が落ちたら負けにするか。帽子取りで決めるほうが安全で、小学校などで多く使われます
  • 騎馬が崩れたとき — 騎手が地面に着かなくても、騎馬が大きく崩れたら負けにする方式があります
  • 反則 — 顔より上をたたく・つかむ、相手の騎手を突き落とす、首や服をつかむ、騎馬役が手を出す、などを反則にします
  • 時間と回数 — 1回戦の時間と、何回戦行うか(勝ち抜き・総当たりなど)を決めます
  • 審判の数と位置 — 組み合う騎馬のすぐそばに審判を置けるだけの人数をそろえます

得点計算の例

帽子の数で決める方式の例です。

  • 例1 — 時間内に緑チームは帽子を5個、灰色チームは3個取った。緑チームの勝ち
  • 例2 — 灰色チームの騎手は帽子を取られなかったが、騎馬が崩れて騎手が地面に足を着いた。その騎馬は負けで場外へ(取った帽子は数に入れる、などの扱いは事前に決めておく)
  • 例3 — 大将戦で、緑チームの騎馬が灰色チームの大将騎の帽子を取った。その時点で緑チームの勝ち

よくある反則・判定の迷いどころ

  • 顔や頭をたたく・引っぱる — いちばん危ない行為です。帽子以外に手を伸ばしたら反則にします
  • 相手を突き落とす・体当たり — 騎馬ごと全力でぶつかると、騎手が頭から落ちるおそれがあります。小学校では体当たりを禁止にします
  • 逃げ続ける — 戦わずに逃げ回るのを反則にするルールもあります
  • 帽子が自然に落ちた — 帽子がずれて落ちたときに負けにするかどうかは、事前に決めておきます
  • 同時に取り合った — どちらが先か分かりにくいので、審判の判断に従うことを全員で確認しておきます

楽しむコツ

騎馬戦のコツ(騎手・前の人・後ろの人)

  • 騎手 — 腰を落として前の人の肩に体重を預け、上半身を立てすぎないようにします。帽子を取りにいく手と、騎馬につかまる手を分けると落ちにくくなります
  • 前の人 — 進む向きと速さを決める役です。急に止まったり向きを変えたりすると騎手が振り落とされるので、「行く」「止まる」の声かけを決めておきます
  • 後ろの人 — 前の人の動きについていき、騎手の足を握った手を離さないことが大切です。手が滑りやすいときは、握り方を事前に何度か練習します

勝つための作戦(一騎打ち・大将戦・団体戦)

  • 横や後ろに回り込む — 騎手は正面の相手には手を伸ばしやすい一方、横や後ろは守りにくくなります。騎馬ごと回り込んで帽子を狙います
  • 2騎で1騎を狙う — 団体戦では、1騎が正面で相手を引きつけ、もう1騎が横から帽子を取る作戦があります
  • 大将を守る — 大将戦では、大将騎の周りに守りの騎馬を置き、残りで相手の大将を狙います
  • 一騎打ちは低く構える — 相手より騎手の手が先に届くよう、腕を伸ばせる距離を保ちます。円の中では端に追い込まれないように動きます

安全(見守り・やめる基準・ルールの工夫)

騎馬戦では、騎手が高い位置から落ちる事故がいちばん起きやすく、首の骨を折るなどの重い障害が残った例もあります。教育学者の内田良氏が紹介した日本スポーツ振興センター東京支所の資料では、騎馬戦のけがのうち「騎手が騎馬から落ちた」「騎手どうしの接触」によるものが、小学校で約5割、中学校で約7割、高校で約6割を占めていました。

2003年9月には、福岡県立高校の体育祭の騎馬戦で、騎手だった3年生の男子生徒が相手と組み合ううちに地面へ落ち、首を骨折して首から下にまひが残りました。2015年3月、福岡地方裁判所は学校の安全配慮義務違反を認め、県に約2億円の賠償を命じました。判決では、多くの生徒が練習なしで本番に臨んだこと、騎手が落ちることを当然に予想させるルール(騎手の頭が騎馬の腰より下がったら負け)だったこと、落ちる騎手を受け止められるだけの審判を置かなかったことが問題とされました。安全上の理由や少子化で、騎馬戦を取りやめた学校もあります。

騎馬戦の補助役を横から見た2つの場面。左は、緑の騎馬(3つの三角)の上に白い帽子の騎手が乗り、すぐ後ろに橙の三角(補助役)が腕を伸ばして立っている。右は、騎馬が崩れて騎手が大きく傾き、橙の補助役が腕で騎手を受け止めていて、その部分を緑の輪で囲んでいる

図:騎手が落ちたときに受け止められるよう、補助役(橙)が騎馬のすぐ後ろについて動きます。

事前の練習

  • 本番の前に、全員が騎馬を組み、立ち上がる・歩く・降りる練習をします
  • 騎手は、騎馬が崩れたときに前の人の肩につかまって足から降りる練習をしておきます

大人の見守り

  • 組み合う騎馬ごとに審判や補助役がつけるだけの人数をそろえ、騎手が落ちたら受け止められる位置に立ちます
  • 審判は全員が笛を持ち、誰が笛を吹いても全員がその場で止まることを事前に練習します

すぐに止める基準

  • 騎手が頭から落ちそうになった、騎馬が大きく崩れた
  • 騎馬どうしが折り重なって倒れた、人が下敷きになった
  • 顔や首をつかんでいる、たたいている
  • 騎馬役が足をくじくなどして、騎馬を支えられなくなった

ルールの工夫

  • 帽子取りにする — 騎手が落ちたら負け、ではなく帽子を取ったら勝ちにすると、相手を落とす必要がなくなります
  • 体当たりを禁止する — 騎馬どうしをぶつけないルールにします
  • 一騎打ちにする — 大勢の乱戦より、1騎ずつ戦うほうが審判の目が届きます
  • 騎馬が崩れたら負けにしない — 崩れたら一度止めて組み直すルールにすると、無理に騎手を支え続けずに済みます
  • 体格をそろえる — 体格の近い騎馬どうしで戦わせ、騎手は体の軽い人にします

年齢別のアレンジ

  • 幼児・小学校低学年 — 騎馬を組まず、「しっぽ取り」のように地面に立ったまま帽子や鉢巻を取り合う形から始めます。保護者が騎馬になり、子どもが騎手になる親子競技にすることもあります
  • 小学校高学年 — 4人1組の騎馬で、帽子取り・体当たり禁止で行います
  • 中学生・高校生 — 一騎打ちや大将戦で作戦を立てて戦います。激しくなりやすいので、審判と補助役の数を増やします
  • 大人・地域の行事 — 体力差が大きいので参加は希望者だけにし、準備運動をしてから行います

日本で遊ぶときの工夫

  • 運動会・体育祭 — 入場のときに和太鼓や合戦風の音楽を流したり、大将騎が名乗りを上げたりして、合戦の雰囲気を楽しむ学校もあります。ルールは学校ごとに違うので、行う前に安全の決まりを全員で確認します
  • 水中騎馬戦 — 学校のプールなどで騎馬戦を行うこともあります。騎手は水に落ちても、水深が浅すぎるとプールの底に体を打ち、深すぎると背の低い騎馬役の足が着きません。プールサイドから離れた、適度な深さの場所で行います。一般のプールでは肩車や騎馬戦を禁止しているところもあるので、施設の決まりに従います
  • 場所 — 芝生や土のグラウンドなど、転んでも衝撃の少ない地面で行います。公園など公共の場所では、大人数で組み合う遊びはしないようにします

騎馬戦とチキンファイト(肩車の押し合い)の違い

英語圏の chicken fight(チキンファイト、shoulder wars とも)は、騎馬戦に近い遊びです。

騎馬戦チキンファイト
1組の人数4人(騎馬3人+騎手)2人(下の人の肩に1人が乗る)
主な場所運動会のグラウンドプールや湖の中
勝ち負け帽子・鉢巻を取る、または騎手が落ちる相手の上の人を落とすか、2人を引き離す
遊ばれ方学校行事の種目として、審判つきで行う友だちどうしの水遊びとして行うことが多い

チキンファイトも、上の人が落ちたときに頭や首を打つおそれがあり、安全のために禁止しているプールがあります。

よくある質問

Q. 騎馬戦は何人で組むの?

ふつうは4人で組みます。3人が騎馬になり、1人が騎手として上に乗ります。人数が合わないときは、2人で騎手を背負う形にすることもあります。

Q. 騎馬戦の上に乗る人と下の人は何と呼ぶの?

上に乗る人は「騎手」、下で支える3人は「騎馬」と呼びます。騎馬のうち先頭の人を「前の人」「先頭」、残りの2人を「後ろの人」と呼ぶことが多いです。

Q. 騎手にはどんな人が向いている?

体が軽く、バランス感覚のよい人が向いています。騎馬の3人は、前の人に力の強い人を置き、後ろの2人は背の高さをそろえると安定します。

Q. 騎馬戦はなぜなくなったの?

安全上の理由と少子化で、取りやめた学校があるためです。騎手が落ちて首を骨折し、重い障害が残った事故もあり、帽子取りや一騎打ちなど、安全なルールに変えて続ける学校もあります。

Q. 騎馬戦は英語で何と言う?

英語では「cavalry battle」と訳されるほか、「Kibasen」とそのまま呼ばれることもあります。似た遊びに、肩車の2人組で押し合う「chicken fight」があります。

Q. 騎馬戦の由来は?

はっきりした記録はありませんが、人を馬と武将に見立てた形から、武士の合戦をまねた競技と考えられています。大将戦を「川中島」と呼ぶのも、戦国時代の合戦にちなんだものです。

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