クロッケー(クロケット)とは?ルール・遊び方・コート寸法を図解
- 地域:
- イギリス
- タグ:
- 少人数, 中規模, 打球, 欧州, 英国, 家族向け, 競技性高
この記事の要点
- 人数
- 2–6 人
- 試合の長さ
- ゴルフクロッケーの7点マッチなら先に4点で勝ち
- 道具
- マレット、4色のボール、フープ6つ、ペグ1本
- 広さ
- 32.0m × 25.6m(WCF公式)。5:4の比率で縮めてよい
このゲームはどんなもの?
クロッケー(Croquet)は、木製の槌(マレット)でカラーボールを打ち、芝生に刺したU字型の金属製の門(フープ、米国ではウィケットとも呼びます)を決まった順番と向きでくぐらせていく芝生のゲームです。本格的なルールでは、すべてのフープを通したあと、コート中央の杭(ペグ)にボールを当ててゴールになります。
単純に見えて、相手のボールをわざと遠ざける「クロッケーショット」という打ち方が戦術の核心です。「芝生のチェス」と呼ばれるほど奥が深いのが魅力です。
いまの形のゲームは、1850年代にアイルランドから英国へ伝わったとされます。1856年にロンドンでルールが登録され、ヴィクトリア朝の英国で大流行しました。1900年のパリ五輪では競技種目になりました。
現在の国際競技は**世界クロッケー連盟(WCF: World Croquet Federation)**が統括しています。WCF は1989年にロンドンで発足し、日本も創設時の正会員の一つでした。入門しやすいゴルフクロッケーでは、エジプトの選手が強いことで知られます。日本のゲートボールも、このクロッケーをヒントに生まれた競技です。
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』(1865年)で、ハートの女王がフラミンゴを槌に、ハリネズミを球にして開くクロッケー大会の場面で名前を知った人も多いでしょう。本物のクロッケーはずっと穏やかで、そのぶん駆け引きの深いゲームです。
図:WCF 規定の標準コート。フープは四隅に4つ、ペグの両側に2つ。破線はコートに引かない仮想のヤードラインです。
クロッケーとゲートボールの違い
ゲートボールは1947年に日本でクロッケーをヒントに考案された競技なので、「打具で球を打ち、門を順番にくぐらせる」骨格がよく似ています。なお、名前の似たクリケットは、投げられた球をバットで打つ1チーム11人の別の競技で、クロッケーとは関係ありません。
| アソシエーションクロッケー | ゴルフクロッケー | ゲートボール | |
|---|---|---|---|
| 人数 | シングルス2人、ダブルス4人 | シングルス2人、ダブルス4人 | 1チーム5人の団体戦(計10人) |
| ボール | 4個(青・赤・黒・黄) | 4個(青・赤・黒・黄) | 10個(赤5・白5、番号入り) |
| 通る順路 | 6つのフープを往復2回、最後にペグ | 6つのフープを1つずつ争う | 3つのゲート、最後にゴールポール |
| コート | 32.0m × 25.6m | 32.0m × 25.6m | 内野 15m × 20m |
| 門の内幅 | 94〜102mm(ボール92mm) | 94〜102mm(ボール92mm) | 22cm(ボール7.5cm) |
| 1回の番 | ロケーやフープ通過で追加の打撃 | 1打だけ | ゲート通過・スパーク成功で追加の打撃 |
| 他の球を動かす | クロッケーショット(球をくっつけて置き、踏まない) | 当ててよいが追加打は無い | スパーク(自分の球を足で踏んで打つ) |
| 勝ち方 | 先に26点 | 7・13・19点のマッチで過半数 | 30分終了時に得点の多いチーム |
ゲートボールの数値は世界ゲートボール連合(WGU)の規則によります。詳しくはゲートボールの記事を見てください。
必要な道具と準備
クロッケーは道具さえそろえば、平らな芝生ですぐに始められます。最低限、マレット・ボール・フープ・ペグ、そして平らな芝生があれば遊べます。
- マレット — ボールを打つ槌。ヘッドの両端の平らな面(打面)で打ちます。ゴルフのパターのように両手で構えます
- ボール — 基本は 青・赤・黒・黄 の4色で、この順に打ちます。青+黒 対 赤+黄 の2組に分かれて戦います。第2色として緑・ピンク・茶・白のセットもあります
- フープ(ウィケット) — 地面に刺すU字型の金属の門。公式の6つのフープは、ボールがやっと通るほどの幅しかありません
- ペグ(中央の杭) — コート中央に立てる白い杭。上部に青・赤・黒・黄の帯が塗られることがあります
- コート(芝生) — 平らな長方形の芝生。短く刈った芝ほどボールがよく転がります
まずは樹脂製のレジャーセットで打つ感覚をつかみ、はまってきたら木製マレットや競技用ボールに買い替えるのがおすすめです。場所は、自宅の庭や公園の芝生広場など、ボールを転がしても他の人に当たらない平らな場所を選びましょう。
コートと道具の寸法
下の表は、WCF の「アソシエーションクロッケー競技規則(第7版)」と「ゴルフクロッケー競技規則(第6版)」の規定です。規則はヤード・インチ基準で、メートル値は規則に併記された換算値です。2つの種目で、コートと用具の規格は共通です。
| 項目 | 規定値 | 許容範囲・備考 |
|---|---|---|
| コートの大きさ | 35ヤード × 28ヤード(32.0m × 25.6m) | 縦・横それぞれ ±6インチ(152mm)。狭い場所では 5:4 の比率のまま縮小してよい |
| 外側4つのフープの位置 | 隣り合う2辺の境界線から各7ヤード(6.40m) | 各フープとペグの位置は最大12インチ(305mm)までずれてよい |
| 内側2つのフープの位置 | ペグの南北に各7ヤード(6.40m) | 同上 |
| ペグ | 地上18インチ(457mm)、直径1½インチ(38mm) | 高さ ±1インチ(25mm)、直径 ±¼インチ(6mm) |
| フープの高さ | 地上12インチ(305mm)、上端まで | +½インチ/−1インチ(+13mm/−25mm) |
| フープの内幅 | 3 11/16〜4インチ(94〜102mm) | 大会では主催者がさらに狭く指定できる。同じコートのフープは幅をそろえる |
| ボール | 直径 3⅝インチ(92mm)、重さ16オンス(454g) | 直径 ±1/32インチ(0.8mm)、重さ ±¼オンス(7g) |
| ヤードライン | 境界線から1ヤード(0.914m)内側の見えない線 | アソシエーションクロッケーで、場外球を置き直す位置 |
直径 92mm のボールに対し、フープの内幅は最大 102mm。すき間は左右合わせて1cmほどしかありません。
米国クロッケー協会(USCA)の家庭向け「9ウィケット」ルールでは、100フィート × 50フィートのコートに9つのウィケットと2本の杭をダブルダイヤモンド形に並べます。庭に合わせて縮めてもかまいません。
推奨人数・年齢層
| 形式 | 人数 | ボールの受け持ち |
|---|---|---|
| シングルス | 2人 | 1人が2球(青+黒 対 赤+黄) |
| ダブルス | 2ペア(4人) | 1人が1球 |
| 家庭用9ウィケット(USCA) | 最大6人 | 6球セットなら1人1球 |
力より狙いと戦術が勝負なので、年齢差や体格差が出にくい競技です。何歳からという決まりはなく、マレットを両手で振れるようになれば一緒に遊べます。WCF には60歳以上や21歳以下の選手権もあります。
ルール
クロッケーは「マレットでボールを打ち、決められた順番でフープをくぐらせる」ゲームです。ルールには大きく2系統あり、初心者はまず、みんなが同じフープを目指す ゴルフクロッケー から始めるのが一番わかりやすくおすすめです。まずは下の最小ルールだけ覚えれば、その日のうちに遊べます。
あそびかたの流れ(最小ルール)
- コート上にフープを6つ並べ、中央にペグを立てます
- 打つ順番は 青→赤→黒→黄 です。青+黒チーム 対 赤+黄チームで、シングルスなら1人が2球を受け持ちます
- 自分の番には 1回だけ マレットでボールを打ちます(ゴルフクロッケーに追加打はありません)
- 最初は全員が同じ1番フープを目指します。最初の1打は、コーナーから1ヤード以内のスタートエリアから打ちます
- 最初にそのフープを正しい向きでくぐったボールの側が、そのフープの1点を獲得します
- 点が入ったら、全員そのままの位置から次のフープを目指します。これを繰り返します
- 手軽な 7ポイントゲーム なら、1〜6番フープを順に争い、3対3になったら1番フープをもう一度争います。先に4点を取った側の勝ちです
最初は「次のフープに近づけて、くぐらせる」ことだけ意識すればOKです。相手より先にくぐれば得点なので、自然と「相手を邪魔する」駆け引きも生まれます。慣れてきたら、次のアソシエーションクロッケーの技を少しずつ足していきましょう。
標準ルール(技を加える)
- ロケー(相手球に当てる) — 本格的なアソシエーションクロッケーでは、自分のボールを他のボールに当てる「ロケー(roquet)」を決めると、続けて打つ権利が得られます
- クロッケーショット — ロケーの直後、自分のボールを当てたボールに くっつけて置き、自分のボールを打ちます。相手のボールを遠くへ飛ばしたり、自分を有利な位置へ運んだりできます。これがゲーム名の由来で、戦術の核心です。このあと、さらに1打(継続打)が得られます
- フープ通過の継続打 — 自分のボールが正しくフープをくぐると、追加でもう1打が得られます。ロケー → クロッケーショット → 継続打とつなげて、一度の番で何点も進む「ブレイク」を狙えます
- 順番と向き — フープをくぐる順序と向きは厳密に決まっており、逆順・逆向きではカウントされません
公式競技ルール
WCF は アソシエーションクロッケー(AC) と ゴルフクロッケー(GC) の2種目の国際ルールを管轄しています。AC とGC の世界個人選手権はおおむね2年ごと、団体戦はおおむね4年ごとに開かれます。
AC では、それぞれのボールが12のフープ(6つのフープを往路と復路で1回ずつ)を通り、最後にペグに当てます。1球あたり12+1で13点、2球で 26点 を先に取った側の勝ちです。大会では時間制限がよく使われ、実力差をならすハンディキャップ制度(追加の番「バイスク」をもらえる)もあります。
GC は、7点・13点・19点のいずれかのマッチで、過半数を取った側の勝ちです。13ポイントゲームは1〜12番フープを争い、6対6なら3番フープで決めます。
図:アソシエーションクロッケーで1球がたどるコース。前半(緑)で外側の4つと内側の2つを通り、後半(灰色の破線)で同じフープを逆向きに通ってペグに当てます。
得点計算の例
例1:ゴルフクロッケー7ポイントゲーム。 青+黒が1・2・4・6番、赤+黄が3・5番を取れば、4対2で青+黒の勝ちです。3対3なら7点目として1番フープをもう一度争います。
例2:相手のボールを押し込んでしまった。 ゴルフクロッケーでは、打った球に当たったボールがフープをくぐっても、そのボールが持つ側の得点になります。自分の緑の球で、フープの手前にあった相手の灰色の球を押し込めば、相手に1点が入ります。下の図の右のパネルがこの状況です。
例3:アソシエーションクロッケーの1回の番。 フープをくぐれば1点と追加の1打、その1打でロケーすればクロッケーショットとさらに1打。これをつなげて3つのフープを通せば、その番だけで3点です。
図:フープ通過の判定。ボールが打った側(左)にはみ出さなくなった時点でくぐり終えたことになります。WCF の規則では、境界ぎりぎりで判別できないときは「くぐり終えた」と判定します。
よくある反則・判定の迷いどころ
- ヘッドを触る・2度打ち・押し出し — 振り下ろすときにマレットのヘッドを手で触る、ボールに2度当てる、打面をボールに付けたまま押し出す、は反則(フォールト)です。GC では、わざと打面以外の部分で打つことも反則です(WCF の AC 規則第29条、GC 規則第11条)
- フープや杭に接したボールの打ち方 — フープの脚やペグに触れているボールは、そこから離れる向きにしか打てません。打った瞬間にマレットとボールが接したままフープに触れさせるのも反則です
- 体や別のボールに触れる — 打つボール以外にマレットや体が触れると反則です。反則のあと、GC では相手がボールを元に戻すかそのままにするかを選べます
- 場外球の置き方の違い — AC では、場外に出たボールや境界から1ヤード以内で止まったボールをヤードライン上に置き直します(番の途中の自球は番の終わりに)。GC では、出た地点で境界線に接するように置きます
- クロッケーショットで場外 — AC のクロッケーショットでどちらかのボールがコート外に出ると、その番は終わりです
- ゴルフクロッケーのオフサイド — 得点が入った時点で次のフープの中間線より明らかに先にあった相手ボールは、相手側の指示で、コート両側中央にある半径1ヤードのペナルティエリアから打ち直させられます
楽しむコツ
初心者がつまずきやすい点
- 強く打ちすぎる — 芝生で転がるため、加減が大切です。最初は軽く、狙いを定めてから打ちましょう
- クロッケーショットを使い忘れる — AC で相手ボールに当てたあとの追加打を使わないと大きな損です
- フープの順番と向きを確認しない — 違う順番・向きでくぐっても得点になりません。クリップを付け替える習慣をつけましょう
盛り上げる工夫
- クロッケーショットで相手を遠ざけると歓声が上がります。積極的に狙ってみましょう
- ダブルスは「次はどの球でどこを狙うか」のペアの作戦会議も楽しみの一つです
- 英国のガーデンパーティー風に、サンドイッチや紅茶を持参してゆったり楽しむのが本場流です
年齢別のアレンジ
- 子ども: フープを4つに減らし、コートを小さく。クロッケーショットなしの GC 形式でシンプルに
- シニア: 立ったままゆっくり振れ、力が要りません。コートを縮めれば歩く量も調整できます
- 競技志向: 公式コート・公式ボールで、GC の13ポイントゲームや AC の時間制限試合に挑戦してみましょう
日本で遊ぶときの工夫
- 用具 — 樹脂製や木製のセットが通販で手に入ります。9ウィケット型のセットで6フープのルールを遊ぶときは、6つだけ使います
- 場所 — 短く刈られた芝生の公園が理想です。5:4 の比率のまま縮めると本来の配置に近い感覚で遊べます
- 団体 — 日本クロッケー協会(The Croquet Association of Japan)が WCF の創設時からの会員として活動しています。本格的に始めたい人は協会の情報をたどってみましょう
よくある質問
Q. クロッケーのコートの広さは?
WCF の標準コートは35ヤード × 28ヤード(32.0m × 25.6m)です。場所が足りなければ、5:4 の比率を保ったまま縮めてよいと規則に書かれています。家庭用の9ウィケットルール(USCA)の公式サイズは 100フィート × 50フィートです。
Q. 何点取れば勝ちですか?
種目によって違います。ゴルフクロッケーは7点・13点・19点のマッチで、過半数(4点・7点・10点)を先に取った側の勝ちです。アソシエーションクロッケーは、2球それぞれが12フープとペグを終える 26点 を先に取った側の勝ちです。
Q. ゴルフクロッケーとアソシエーションクロッケーの違いは?
ゴルフクロッケーは1回の番に1打だけで、全員が同じフープを争います。アソシエーションクロッケーは、ロケーやフープ通過で追加の打つ権利がもらえ、1回の番で何点も進めます。
Q. クロッケーとクロケットは同じもの? 名前の意味は?
同じ競技です。英語の croquet をカタカナにするときの書き方の違いで、日本の協会は「クロッケー」と書いています。語源は「かぎ(フック)」を意味するノルマン・フランス語の croquet で、編み物のクロッシェ(crochet)と同じ系統の言葉です。
Q. 家の庭や公園の芝生でもできますか?
できます。平らで芝が短ければ、小さなコートで十分楽しめます。フープは地面に刺すので、刺してよい場所か事前に確かめてください。
Q. 道具を代用することはできますか?
遊びとしてなら、針金をU字に曲げたフープでも代用できます。ボールがぎりぎり通る幅にすると本来の難しさに近づきます。
もっと知りたい人へ
- World Croquet Federation(WCF) — 国際競技規則・世界選手権の情報
- WCF アソシエーションクロッケー競技規則 第7版(PDF・英語)
- WCF ゴルフクロッケー競技規則 第6版(PDF・英語)
- USCA 9ウィケット(家庭向け)クロッケーのルール(英語)
- 日本クロッケー協会(The Croquet Association of Japan)
- croquet(英語版ウィクショナリー) — 発音と語源
- 関連: ゲートボール、ペタンク、モルック — 同じく芝生で打つ・投げる系ゲーム
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