ボッチェのルールと遊び方|コートの寸法・点数の数え方を図解
- 地域:
- イタリア
- タグ:
- 少人数, 投擲, 球技, 欧州, 家族向け, 競技性高
この記事の要点
- 人数
- 2–8 人
- 試合の長さ
- 12点先取(CBIの大会は12点または8エンド)
- 道具
- ボッチェボール8個(2色)、パッリーノ1個、メジャー
- 広さ
- 26.5m × 4m(CBI公式)。家庭なら短い平らな場所でよい
このゲームはどんなもの?
ボッチェ(Bocce)は、古代ローマの球遊びから発展したと考えられている球技で、 イタリアでは国民的レジャー として親しまれています。名前はイタリア語で「球」を意味する boccia の複数形です。 1753年にはラッファエーレ・ビステーギの著書『Gioco delle bocchie』でルールが記述されています。
ペタンクと似た「目標球に近づける」ゲームですが、
- ボールが大きい(直径 約11cm)
- 投げるより 転がす スタイル
- 板で囲まれた平らな コート を使う
- 強くぶつけるショットも戦術として頻出
という違いがあります。国際統括団体は国際ボッチェ連盟(CBI)で、スペシャルオリンピックスの正式種目でもあります。 なお、パラリンピック種目の「ボッチャ(Boccia)」はボッチェから派生した別の競技で、ルールも道具も異なります。
図:CBI 規格のコートをほぼ実寸比で描いています。緑の縦線(投球ライン)の後ろから投げ、パッリーノはセンターラインを越えた橙の帯の中に止めます。パッリーノは見やすく大きめに描いています。
ボッチェとペタンク・ローンボウルズの違い
3つとも「目標球にいちばん近づけた側が、相手の最良球より内側の球の数だけ得点する」点は同じです。違いは道具と、球の送り出し方にあります。
| ボッチェ | ペタンク | ローンボウルズ | |
|---|---|---|---|
| 球 | 合成樹脂、直径106〜107mm、900〜920g | 中空の金属、直径70.5〜80mm、650〜800g | 直径112〜131mm、1.59kg以下。片側へ曲がる形(バイアス) |
| 目標球 | パッリーノ(直径40mm) | コショネ(直径30mm) | ジャック(直径63〜64mm、屋外の天然芝) |
| 送り出し方 | 主に転がす。ラッファ・ヴォーロで当てる | 小さなサークルに両足を収めて投げる。山なりも多い | マットから転がし、バイアスで曲げて寄せる |
| 場所 | 板で囲んだコート 26.5m × 4m(CBI) | 地面を選ばない。選手権の区画は15m × 4m以上 | 長さ31〜40mの平らなグリーンをリンクに区切る |
| 試合の長さ | 12点先取(CBI の大会は12点または8エンド) | 13点先取 | 世界大会はシングルス21点先取、ペアズ・フォアズ18エンド |
| 国際統括団体 | CBI | FIPJP | World Bowls |
数値は各団体の規則によります。詳しくはペタンク・ローンボウルズの記事を見てください。
必要な道具と準備
ボッチェは道具が少なく、準備もほとんど要りません。最低限、色分けされたボッチェボールと目標球(パッリーノ)、そして平らな地面があればすぐに始められます。
- ボッチェボール — 直径約107mm、重さ約920gの合成樹脂の球。2色に分け、1人戦なら各チーム4個ずつ使います
- パッリーノ(pallino) — 直径約40mmの小さな目標球。「ボッチーノ」「ジャック」とも呼ばれ、これに近づけることを競います
- コート — 公式は長さ26.5m・幅4mほどの、板で囲まれた平らなコート。家庭では芝生や空き地など、平らな地面があればもっと小さくてもOKです
- メジャー(巻尺) — どちらの球が近いか際どいときに測るための必需品。数センチの差で勝敗が決まることも多いです
家庭用の入門セットは手頃な価格で手に入り、まずはこれで十分に楽しめます。規格どおりの競技用ボールは高価になるので、はまってから買い替えるのがおすすめです。転がすゲームなので、できるだけ平らで起伏の少ない場所を選びましょう。
コートと道具の寸法
下の表は、国際ボッチェ連盟(CBI)の競技規則(2023年1月施行、ラッファ種目)と、米国ボッチェ連盟(USBF)のオープンルールの規定です。
| 項目 | 規定値 | 許容範囲・備考 |
|---|---|---|
| コートの長さ | 26.5m | CBI。承認があれば24.5〜28mも可。USBF は 86.92フィート(26.5m) |
| コートの幅 | 4〜4.5m | CBI(3.8mまで許容)。USBF は 13.12フィート(4m) |
| 囲いの板の高さ | 25cm | CBI。誤差 ±2cm |
| 投球ライン | 端の板から4m | CBI のラインB(パッリーノ・寄せ・ラッファ共通)。USBF は1本のラインを奥の壁から13フィート(約4m)に引くことを推奨 |
| パッリーノの有効範囲 | センターラインを越え、向こう側のラインBの手前 | CBI。横の板から13cm以内も無効。USBF はセンターラインを越え、奥の壁に触れないこと |
| ボールの直径 | 106〜107mm | CBI(誤差 ±0.5mm)。USBF の推奨は107mm |
| ボールの重さ | 900〜920g | CBI(誤差 ±5g)。USBF の推奨は920g |
| パッリーノ | 直径40mm、重さ90g | CBI。誤差は直径 ±1mm、重さ ±7g |
推奨人数・年齢層
| 形式 | 人数 | 1人あたりの球 |
|---|---|---|
| 個人戦 | 1 vs 1 | 4個 |
| ペア戦 | 2 vs 2 | 2個 |
| トリプル(3人戦) | 3 vs 3 | 2個 |
| 4人戦(USBF) | 4 vs 4 | 2個(2人ずつコートの両端に分かれる) |
CBI の公式種目は個人・ペア・トリプルの3つで、4人戦は USBF のオープンルールにある形式です。子供からシニアまで、車椅子使用者も楽しめる包容力ある競技です。
ルール
ボッチェは「パッリーノ(目標球)に、どれだけ自分の球を近づけられるか」を競うシンプルなゲームです。まずは下の最小ルールだけ覚えれば、その日のうちに遊べます。
あそびかたの流れ(最小ルール)
- ジャンケンなどで先攻チームを決めます
- 先攻のプレイヤーが、目標球 パッリーノ をコートの中央より先へ投げます
- 続けて先攻チームが1個目のボッチェボールを、パッリーノのすぐそばを狙って投げる(または転がす)
- 次に後攻チームが投げ、パッリーノにより近ければ「リード」を奪います
- ここからは、パッリーノから遠いほうのチームが、相手より近づくまで投げ続けます(近いチームは待ちます)
- 両チームが持ち球をすべて投げ終えたら得点計算。パッリーノに一番近い球のチームが、「相手の一番近い球より内側にある自分の球の数」だけ得点します
- これを1フレーム(エンド)として繰り返し、先に12点 取ったチームの勝ちです
最初は「近づける」ことだけを意識すればOK。慣れてきたら、次の標準ルールの技を少しずつ足していきましょう。
標準ルール(技を加える)
- 3つの投げ方 — そっと転がして寄せる「プント(punto)」、相手の球に勢いよくぶつけて弾き飛ばす「ラッファ(raffa)」、山なりに投げて空中から目標に当てる「ヴォーロ(volo)」の3スタイルがあります
- ヒット(弾き出し)は正当な戦術 — 相手のリード球や、ときにはパッリーノ自体をぶつけて弾き出すのはルール上OK。決まれば一気に形勢が変わります
- フットライン — 投げる際、投球ライン(フットライン)を踏み越えてはいけません
- 役割分担 — ペアやチーム戦では、寄せ役と撃ち役で分担すると戦略的になります
図:上からプント(転がして寄せる)、ラッファ(速く転がして弾く)、ヴォーロ(空中から当てる)。緑の線がボールの通り道です。
公式競技ルール
国際ボッチェ連盟(Confederazione Boccistica Internazionale, CBI)が、コートの規格、投球ライン、パッリーノの有効範囲、界外になった球の扱い、測定の手順などを細かく定めています。CBI の規則では、ラッファやヴォーロで撃つときは、狙う球を事前に審判に宣言しなければなりません。1球の持ち時間は30秒です。世界選手権などの試合は「12点先取、または8エンド」で、8エンド終了時に同点なら1エンドを追加します。米国の USBF は通常12点、決勝は15点を推奨しています。スペシャルオリンピックス の正式種目にも採用されています。
得点計算の例
得点するのは、そのエンドでパッリーノに一番近い球を持つチームだけです。
- 例1(図の左):緑チームの3球が、灰色チームで一番近い球より内側にあります。緑の4球目はそれより外側なので、緑チームに3点 です
- 例2(図の右):両チームの一番近い球がパッリーノから同じ距離にあります。CBI の規則では、この状態を作ったチーム(最後に投げたチーム)が、点を取るか球がなくなるまで投げ続けます。全部投げ終えても同点なら、そのエンドは無効で、同じ側からやり直します。USBF のルールでは得点なしで、次は反対側から再開します
- 例3(試合の決着):CBI の世界選手権の形式で、8エンド終了時に11対9なら11点のチームの勝ちです。途中でどちらかが12点に達したら、その時点で試合終了です
図:左は緑の輪の3球が得点になり緑チームに3点。右は同距離のため、まだどちらの点でもありません。
よくある反則・判定の迷いどころ
- ラインを踏み越える — CBI では、投げるときに前の足が地面についた状態でラインを越えると、その球は無効です。ただし相手チームは「アドバンテージ・ルール」で、そのままの結果を有効として受け入れることもできます
- 狙いの宣言がない — CBI では、ラッファやヴォーロで狙う球を宣言しなかった、または宣言と違う球を狙った投球は無効です(アドバンテージ・ルールあり)
- 横の板に当たった — CBI では、狙いどおりの働きをする前に横の板に当たった球は無効です。一方 USBF のルールでは、横の板はいつ使ってもかまいません。団体によって正反対になる代表例です
- 奥の板に直接当たった — CBI では、寄せた球が何にも触れずに奥の板に当たると無効です。USBF でも、ほかの球やパッリーノに触れずに奥の板に当たった球は無効(コートから取り除く)です
- パッリーノが外に出た — 正しいプレーでもパッリーノがコートの外に出たり、センターラインより手前に戻ったりすると、そのエンドは無効です。CBI は同じ側から、USBF は反対側からやり直します
- 転がる球を止めた — CBI では、投げた球を故意に止めたりそらしたりすると、相手チームに最大の点(有効に投げた球と残りの球の合計)が与えられます
楽しむコツ
初心者がつまずきやすい点
- 強く投げすぎる — 転がすゲームなので、地面の硬さを読んで力加減を調整
- 直線で投げない — コートの傾斜・芝の流れを見て、カーブを狙うと一段上の戦略
- パッリーノを近すぎに置かない — 遠めに置いた方が戦術の幅が広がる
戦術の基本
- 寄せ役と撃ち役 — 寄せが得意な人が先に投げて点を作り、撃ちが得意な人が相手の球を払う分担が基本です
- パッリーノを動かす — 相手に囲まれたパッリーノは、ぶつけて自分の球のそばへ移すのも作戦です
盛り上げる工夫
- ラッファで相手のリードを弾き出すと一気に逆転できる
- BBQやワインを片手に、ゆったり長時間楽しむのが本場のスタイル
年齢別のアレンジ
- 子供: 距離を半分、軽量ボール
- シニア: 着座や車椅子からの投球もOK
- 競技志向: 公式コート・公式ボール・1球30秒の持ち時間
日本で遊ぶときの工夫
- 公園の芝生は起伏があるため、できるだけ平らな場所を選ぶ。芝が長いと球が止まりやすいので、コートを短めにするとちょうどよくなります
- ロープや目印で幅4mほどの細長い区画を作ると、コートの雰囲気で遊べます
- 「ボッチャ」の団体や大会はボッチェとは別の競技なので、検索するときは名前に注意しましょう
よくある質問
Q. ボッチェのコートの大きさは?
CBI の公式コートは長さ26.5m・幅4〜4.5mで、周りを高さ25cmほどの板で囲みます。米国の USBF も同じく約26.5m × 4mです。家庭で遊ぶなら、もっと短い平らな場所でも十分楽しめます。
Q. 何点で勝ち?
USBF のルールでは通常12点先取で、決勝は15点を推奨しています。CBI の世界選手権は「12点先取、または8エンド」です。遊びなら7点先取などに縮めてもかまいません。
Q. 芝生の上でもできる?
できます。公式コートは土や人工素材ですが、平らな芝生なら十分遊べます。芝は球が止まりやすいので、少し強めに転がしましょう。
Q. ボッチェとボッチャは同じもの?
違う競技です。ボッチャはボッチェから派生した障がい者スポーツ(パラリンピック種目)で、国際ボッチャ競技連盟(BISFed)が統括しています。ボッチェの国際統括団体は CBI です。
Q. 子どもは何歳から遊べる?
公式な年齢の下限はありません。競技用の球は1個約900gと重いので、小さな子どもは軽い入門用の球と短い距離から始め、大人が見守りましょう。
Q. 専用の道具がないときの代用品は?
パッリーノは小さなボール、ボッチェボールは同じ大きさのボール8個(2色)で代用できます。色が同じなら、テープなどで目印をつけてチームを見分けましょう。
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